宮ノ入(みやのいり)からこの家の管理と家政婦を任されているという木間(このま)衣早子(いさこ)さんという気のいい年配の家政婦さんが来た。

「会長には困っているところを助けていただいた恩があります。なんなりとお申し付け下さい」

「ご丁寧にありがとうございます」

私が奥様らしく、挨拶すると、直真(なおさだ)さんは笑顔を浮かべて言った。

「衣早子さん。これから、なにかとご迷惑を掛けるかもしれませんが、妻共々(ともども)、よろしくお願いします。祖父から衣早子さんのことは真面目で仕事熱心な方だとお聞きしてます」

《《衣早子》》さん!?

「ま、まあ!それほどでも」

衣早子さんは直真さんの笑顔と言葉にすっかり騙され、『なんてかんじのいい』『さすが宮ノ入の方だわ』とかなんとか、言っている。
はー、相変わらずの詐欺師ぶりに舌を巻くわ。