『君』の代わり。
君の温もり

あの後

オレの濡れ衣は晴れたけど

ふたりきり禁止令が出た



ばあちゃんのご飯を食べた後は

ばあちゃんの
目の届くところにいなければならない



結局

信用されてない



ばあちゃんと朝日奈が

お茶を飲みながら雑談してる横で

いつもオレは本を読んでる



朝日奈は時折

オレに寄り掛かったり

肩を叩いてきたりする



その度に

胸がチクチクした



オレに触れないでほしい

勘違いして

好きになるから…



本には

ほとんど集中できてなかった



「アンタ達ホントに仲いいね
ばあちゃんは
ひなちゃんが嫁に来てくれるなら
いつでも大歓迎!」



「そろそろ花嫁修業しなきゃかな」



朝日奈がひとりごとみたいに言った



ばあちゃんが笑った



オレは聞こえないふりをした



嫁って

彼女でもないのに…



いつでもって

この前はあんなに怒ったのに…



ばあちゃん

オレ

一生ばあちゃん孝行できないわ



朝日奈は

間違っても

ここには嫁に来ないから



ごめんね

ばあちゃん



そんなオレに

いつも美味しいご飯作ってくれて



ありがとう

ばあちゃん


< 89 / 167 >

この作品をシェア

pagetop