フォンダンショコラな恋人
8.有罪です
「花火大会……?」
一瞬倉橋は何を言われているのか、分からなかった。

「ええ。うちの会社の屋上からよく見えるもので、大口先をご招待して取引先さんにも協力してもらって、毎年鑑賞会をしているんですよ」
目の前の課長はにこにこと笑っている。

「ああ! 去年参加させてもらいました! よく見えるんですよねぇ」
「まあ、割と高いビルですからね」

「食べ物も美味かったし。えー、いいんですかぁ⁉︎ 参加させて頂いて」
「是非お2人でいらしてください!」

招待客名簿に名前を載せておきますから。
そう言われて、倉橋も手帳に予定を書き込む。

今日は倉橋は案件の関係で、渡真利と一緒に翠咲の会社を訪問していた。
別の部署で、係争案件が発生したので、その打ち合わせのためだった。

「ここの花火大会、すっげーいいぞ」
昨年も参加したと言っていた渡真利は、やけに嬉しそうだ。
会社の屋上を解放して花火大会を観る会を毎年しているらしい。

「周りより少し高いビルだから花火大会もよく見えるし飯も美味い。取引先の料理屋から料理を提供してもらっているみたいで」

「そうなんですか」
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