急に手を引き寄せられたと思ったら、そのまま膝裏を掬い上げられ、ソファから目の前の大きなベッドに沈まされる。

「そんな可愛いこと言われたら、こっちだって我慢が限界…」
「颯くん…」
「同じだと思っていい?千花も、俺を想ってくれてるって」

熱い欲を隠しもしない目で見つめられ、千花は頬を染める。それでも颯真に自分の気持ちを伝えたくて、頷きながら言葉を続けた。

「同じどころか…、私のほうが颯くんのことずっと前から好きなんだから…」

幼い頃、勉強を見てくれた優しいお兄さんに惹かれたあの日。
身代わりで婚約させられ失意の中、大好きなお菓子をプレゼントしてくれたあの時も。

「私の初恋は颯くんなんだって、知らないでしょ…?」

ずっと惹かれていた。
姉の恋人だと思っていた時も、いずれ彼女と婚約すると知った時も。
自分は身代わりだと一線を引きながら、それでも忘れられなかった程、颯真を想っていた。

「颯くん、ありがとう」

忙しい身でありながらはるばるウィーンまで迎えに来てくれた。
姉の身代わりでなく、自分を好きだと言ってくれた。
涙する千花を優しく見つめ、その雫を拭ってくれた。