激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

スッと通った鼻筋と薄い唇には品が有り、182cmという長身もあって黙っていても周囲の注目を集めるオーラを持っている。

颯真は「娘を頼む」という公造の言葉に頷くと、千花の手を取りゆっくりと祭壇の前まで歩みを進めた。

参列者全員で賛美歌を歌い、神父が聖書の中から婚姻にふさわしい愛の教えを説く。そしてあの有名な言葉が新郎新婦へ向けられた。

「新郎、颯真。あなたは千花を妻とし、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

伏せていた目を上げ、参列者全員に聞こえるような張りのある凛とした声が響く。

「はい。誓います」


―――――嘘つき……。

千花が痛む胸を押さえてため息をつくと、顔の前に掛かっているレースがふんだんにあしらわれたベールが小さく揺れた。

「新婦、千花。あなたは颯真を夫とし、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

千花も伏せていた顔を少しだけ上げて正面を見据え、小さな声で呟いた。

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