Stargazer
「そんなに見られると恥ずかしいわ。今日は私個人をお祝いする場じゃないでしょ?」

ふわりと微笑んで言う彼女は、僕より数年前にこの劇団に入った先輩だ。多くの人を魅了する美貌と高い演技力で、彼女がヒロインを演じることが多く、彼女目当てに舞台を見に来る人も少なくない。それほど彼女の存在はすごいのだ。

彼女の言葉で、ハッと我に返ったリーダーが慌てて話題を作って場を盛り上げる。みんなの視線はあちこちに移り、彼女はこのレストランの一部にまた戻った。それでも、僕は彼女から目を離さないでいる。ずっと憧れている人だから……。

彼女のことを好いている人が多いように、彼女の美貌や演技力に嫉妬している人も大勢いる。この劇団の中にだっているんだ。陰で彼女の悪口を言っているのを、僕は聞いたことがある。

「あんなちょっと美人で演技が高い子、リーダーに体を使って役を貰ってるのよ」

「ファンが多いからって調子乗りすぎよね」

その時、僕は怒りに震えていた。だって誰も知らないんだ。彼女がすごく努力していることを。
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