置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
オープニングセレモニーの後、ゲストを迎えつつがなくスタートを切ることが出来た。

企画戦略室のメンバーは部長以外みんな隼人のことを知らずにいてとても驚いていた。
一歩引くような態度になってしまったみんなに、いつも通りでいてくれないと悲しいと言われ恐縮していた先輩たちも後輩の1人としてしばらく見守ることになった。

多少のトラブルはあったがなんとか軌道に乗り始め、サポートに達していた企画戦略室のメンバーも1ヶ月が経つ頃ようやく順番に東京へと戻ることになった。

最後に残った私と隼人も明日ここを出発する予定。

ホテルでの仕事を早めに終え、滞在先へもどり荷造りをすると隼人から連絡が来た。

荷物をまとめてロビーに降りてくるように、と。

明日の昼の便で帰る予定のため意味がわからない。
早く降りてこい、とまたメッセージが届き私は慌てて大きなスーツケースと手荷物を持ちロビーへ降りた。
すでにチェックアウトを済まされており、隼人は正面にタクシーを呼んでいた。

「ちょっと、明日の昼の便だよ。チェックアウトしたらダメだよ」

「いいんだよ。明日は土曜日だから東京には日曜日の昼の便に変更した」

「なら尚更ダメじゃない」

「いいんだ。さ、行こう!」

そういうと私の手から荷物を受け取りタクシーのトランクに荷物を詰め込んだ。

「ここまで来たんだ。一緒に星空を見に波照間島に行こう」

「波照間?!」

「あぁ、一番最初に来た時に魅入ってただろう。覚えてないか?あのポスター」

「覚えてる!!!」

「奈々美と行きたいと思ったんだ。一緒に南十字星を見に行こう」

「うん!」

私は隼人の手を掴み、握りしめた。
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