猫目先輩の甘い眼差し
優しくて騒がしい仲間達
◇◇



一ノ瀬先輩の新たな一面を知って、1週間が過ぎた朝のこと。



「猫ちゃんの歯って結構鋭いんだね。これが犬歯?」

「そうそう」



先週と同様、月香ちゃんと体を寄せ合い、昨日撮ったトラ吉の動画を観賞する。

今日は火曜日だから、体育に向けてパワーチャージしてるんだ。



「ここに指入れたらどんな反応するかな?」

「あー、それね……」



あくびするトラ吉をニコニコ顔で指差した月香ちゃん。


そのイタズラ、先週お母さんがやってたやつだ。

怒られはしなかったけど、戸惑った後拗ねちゃったんだよね。

申し訳なくなって、もうイタズラするのはやめるって言ってたっけ。



「強く噛まれなかったからケガはなかったんだけど、場所が悪くて犬歯に当たってね……」

「えっ! これが指に⁉ 痛そう……」

「うん。だからあまりオススメはしないよ」



ハッキリ言い切ると、「そうだよね……」と弱々しく返された。


空気を悪くするつもりはなかったんだけど……ちょっときつかったかな。

もちろん、冗談だったのはわかってる。
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