再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「大丈夫、ちょっと目が覚めただけだから」
「そうか」

少しだけ体を起こした新太が、そっと私を引き寄せる。
それだけで、私の体はビクンと反応してしまった。

「ごめん、怖がらせてしまったか?」

どうやら自分でもやりすぎてしまった自覚はあるらしい。
確かに、今日の新太は野獣だった。

「さすがにもう何もしない。だから、おいで」
そう言って、大きく広げられた腕の中に私は身を投げ出した。

「いい子だ」
クシャッと頭をなでる新太。

「もー、子ども扱いしないで」
私は唇を尖らせて抗議する。

「子供相手にあんな事しないだろ?」
「そっ、それは・・・」

やはりこの人は意地悪だ。
表面上いい人ぶっている普段とのギャップがすごすぎる。

「今度また浮気なんて考えたら、もっとすごいからね」
「私は別に浮気なんて」
「環、その話又蒸し返したい?」

ギロリと見つめられ、私は口を閉じてしまった。
この人は怒らせてちゃいけない。煽ってもいけない。そんな事すれば、私の身が持たない。
私はこの時、新太の本性を見た気がした。
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