囚われて、落ちていく
干渉
「つむちゃん、今日の予定は?」
朝食後、いつものようにコーヒーを飲みながら都麦に聞く刹那。

「あ、今日はねー美容室に行こうかなって!
髪型スッキリさせたいなぁと…!」
「へぇー、それは楽しみだな!」
刹那は都麦の髪の毛に触れ、遊びだした。

「フフフ…楽しみにしてて!
………なんて(笑)」
「どこの美容室?」
「私が前に働いてたカフェの近くだよ!ちょうど道路挟んで向かいのとこ!」
「道路挟んで向かい……あー!
………でもそこって、男の従業員いるよね?」
「え?あ、うん」
「………」
考え込んでいる刹那。

「あ、でも!私の髪の毛を切ってくれるの、いつも女性の方だよ!いつも同じ人に頼んでるから!
引田さんっていうの!」
「そう。わかった。でも、男には触らせないでね!
つむちゃんに触れていいのは、僕だけなんだからね!」
「う、うん…わかった」

「あーそうだ!忘れてた!」
「ん?」
「今日からスマホのチェック、毎日させて?」
「………」
「あと電話帳は、今チェックさせて?」
そう言って、手の平を出してきた刹那。


「…………は?」
思わず、フリーズする都麦。
「“女”の友達はいいけど、男の連絡先は消して?
この際だから、整理しよ?」
しかし刹那は、当然のように話を続けている。

「………」
「つむちゃん?」
「刹那さん、そうゆうのは……」
「もしかして、僕に見せられないの?」
「え……そ、そんなことないよ…?ほんとだよ?」
「だったらいいでしょ?
ほら、見せて?」
穏やかに微笑んでいるが、雰囲気はかなり恐ろしい。

都麦は恐ろしくて、拒否できなかった。
少し怯えながら、恐る恐るスマホを差し出した。

「ん。ありがと!
…………あ、つむちゃん」
「は、はい!」
「そんな肩に力入れなくても、怒ったりしないよ?
ロック、解除して?」
ゆっくり人差し指を出し、解除する。
刹那は慣れた手つきで、操作していく。

「つむちゃん、これ誰?」
「これは?」
と一人一人確認し、刹那と由利や佐和など一部の友人と瞬作、家族、行きつけの美容室などの店以外は“全て”消去された。
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