囚われて、落ちていく
都麦の頬を両手で包み込み、上へ向かせた刹那。
「ダメだよ。ちゃんと僕を見て?
可愛いつむちゃんを、もっと見たいんだから!」
「刹那さんは、カッコ良すぎるからわかんないだよ。
私のこのドキドキ……」
「わかるよ?僕もドキドキしてるから。
……………んーどうしよう、キスしたいな…」
「うん」
「でも今すると、きっと止まらない」
「ん?」
「そのまま、抱きたくなると思う」
「え?でも…ご飯……」
「だよね。だから、今はしない。
僕は着替えてくるね」

刹那が着替えて戻ってくる。
「つむちゃん、スマホ見せて?」
と言ってきた。
「うん……テーブルに置いてるよ…」
「ん」
そう言って、手慣れた操作で確認する。
その最中、メールが入ってきた。

「あ、つむちゃん。
メール来たよ。見るね」
「へ!?
ちょっ……そんな勝手に…」
慌てて、刹那の方に駆けていく都麦。

【都麦~久しぶり!
実は…………
私、結婚しまーす!
招待状送るから、是非来てね!】
八重(やえ)ちゃんだ」
「八重……あ、この子も高校の時の友達だよね?」

「うん。
…………行ってきていい?」
恐る恐る都麦は刹那に聞いた。

「………」
刹那は、微笑むだけ。

「刹那さん!お願い!」
「男、いるよ?
僕がいいって言うと思う?」
「刹那さん……」

「それに高校の時の友達っていったら、あいつ(東矢)もいるでしょ?
尚更、ダメだよ!」
都麦の目が一瞬で潤み、涙が溢れていた。

「………」
「泣いてもダメ」
刹那が都麦の涙を拭おうとして頬に触れた。

パシッ━━━━━━━!!!

「え………」
思わず、刹那の手を払った都麦。

でも………
都麦は自分の行動に驚愕していた。

本当に無意識だった。
無意識に手を払っていた。

「あ……ごめんな━━━━━━」
「都麦」
刹那に払った手を掴まれる都麦。

「刹那さ……ごめんなさい…!
私………」
「フフ…都麦には、いつも参ってばかりだ」
微笑み、掴んだ手に力が入っていく刹那。

「え……
………っつ…刹那さ…痛い…」

「僕に愛情を植えつけて、嫉妬を覚えさせ、挙げ句の果てにこの僕を振り払う。
そんなことする人間は、初めてだよ」
更に刹那の力が入っていき、ギリギリと音がしている感じがする。

「刹那さ…お願い……離し……」
「都麦、僕のこと嫌いになったの?」
「そんなことないよ!
振り払ったのは、悲しかったから咄嗟に……」
「じゃあ…僕のこと、好き?」
「うん、大好き!」

「僕はね……都麦を、愛してるよ。
どれだけ愛してるか、証明してあげようか?」

「え………」
「例えば…………あ!」
「刹那、さん……?」



「“相沢 東矢”を、消してあげようか…………?」




え━━━━━━━????

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