もぐもぐ口を動かしている碧維の姿は、まさにお兄ちゃんそっくりに見える。
いや、碧維の方が明らかにお兄ちゃんよりも可愛い。にっこり微笑む様子は天使みたいに可愛い。


──まぁ最初に碧維を見た時は、驚いたけれど。
どう見ても薄い茶色のくるっとした髪の毛と、琥珀のような虹彩は、私達兄妹の幼少期そのものだったから。
私の予想では……まぁお兄ちゃんは晶葉先生を好きだったんだろうけど、恋人が居たから身を引いたんじゃないかな、という予想だった。


でも碧維を見た時に『やっぱりそうか……』とほんの少し納得したのも本当だ。

何となく、点と点が繋がった気がしてた。

私に桐友への進学を勧めたわけも。
桐友の内部の事情にも詳しかったわけも。
やけに音大の受験事情に詳しかったわけも。
海外に行こうか迷ってる私に、ウィーンの大学のセミナーへ参加を勧めたわけも。
先生と関係に躓いた時に、誰かゲルハルト先生に学んだ卒業生を紹介してもらえば?とアドバイスしてくれたわけも。


私は高校生活を送るにつれ、海外で学びたいという思いが沸き上がってきた。
私は人よりもスタートが遅い。三歳から始めた子に比べると六年も……私の倍以上キャリアに差がある。だからその人達に追い付くには、もっと色んなものに触れて吸収しないと、追い付けそうにないと感じていた。