小さな願いのセレナーデ

あれから昂志さんとは、ちょくちょく顔を合わせてはいる。
だけどさすがに二人きりになることや、車で家まで送ってもらうことは避けてはいるのだか。
だけど碧維は毎週日曜、キッズルームで彼と遊んでいる。そして夕飯こそ頂かないものの、いつも帰りにはおもちゃのプレゼントも。おかげでうちの狭い家に、大きなおもちゃの山ができてしまった。

このままじゃいけないとは知っている。
だけどやっぱり……少しは誰かに甘えたいという、自分の弱さがあった。
つくづく私は、中途半端な人間だ。


「只今戻りました」

ユキさんに連れられて、私もリビングに入る。
向こうにある大きなソファーでは、昂志さんがパソコンを広げていた。
「おかえりなさい」と言ってこっちを見ると、目が合ったので会釈した。

「晶葉先生と下で会ったんですよ。瑛実さんの連絡に気付くのが遅れたみたいです。さぁ先生、どうぞ」

ユキさんにせかされ、ダイニングのテーブルに座る。すぐにお茶を出してくれたので、一口頂いた。
彼がこっちを見ているが、敢えて視線をお茶のグラスに向ける。
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