小さな願いのセレナーデ
「昂志さんはいい加減休んでください」
ユキさんは私を見る昂志さんの前に立ちはだかる。

「とは言っても、寝れるわけじゃないし」
「だから、少しは手を止めて休んでください!いつも飛行機で寝れないって言ってるんですから!」
「仕事が捗る」
「パフォーマンスは落ちます」

二人の会話に耳を傾けていると、「先生からも何か言ってあげてください」と。

「これから四日間ニューヨークに行くって言うのに、全然休もうとしないんですよ。飛行機で寝れない人なのに」
「こんな時間に休めるわけないですよ」
「でも最近忙しいんですから、少しは休んでください」
「じゃぁ先生と一緒に寝ようかな」
そうクスりと笑うので、思わず噎せた。
ゴホッと咳き込む私をちらっと見ては、ユキさんはため息をついていた。


「じゃぁせめて一緒にお茶ぐらいはいいかい?」
「そうですね。カモミールティーでも淹れますから、先生もお付き合いいいですか?」
「……まぁ、勿論、それぐらいなら」

まぁ特に断る理由はないだろう。不自然に断るのも気が引ける。
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