「アイリーンさんて、可愛いよね」
 彼女の後姿を見送ったフランシスが言う。

「会長、どういうつもりですか?」

「何が?」

「彼女をからかって、楽しいですか?」

「私は、アイリーンさんをからかってはいないよ」

「本気、ということですか?」

「さあね」

 フランシスとしては本当にアイリーンをからかっているつもりはない。からかっている相手はイブライムなのだ。

 いつも澄ましていたこの男が、留学生の女子生徒に振り回されているのが面白い。しかも、イブライム本人は気付いていないし、アイリーン自身はもっと気付いていない。
 人の恋路を邪魔するつもりはないけれど、面白い恋路には手を出したい。それだけのこと。
 とりあえず種は蒔いた。あとはこれがどう実ってくれるか、フランシスは楽しみで仕方がない。