学院からの留学許可書と承諾書を手にしながら、アイリーンは何度もため息をついた。絶対、留学したい。その気持ちに変わりはない。

「お嬢様、旦那様がお戻りになりました。お嬢様が相談したいことがある、ということを伝えましたところ、今ならお時間がとれる、とのことです」
 侍女のモイラにそう告げられ、アイリーンは重い腰を上げた。

 父親の部屋のドアをノックし「アイリーンです」と名前を告げると、入るように言われた。
「お帰りなさい、お父様」

「リーンか。帰ってくるなり話があるとは、何かあったのかな?」
 娘の顔を見るや否や、ボイド公爵は顔中に笑みを浮かべた。
 この父親、こう見えてアイリーンを溺愛している。だから留学を口にするのが怖い、のだが。

「お疲れのところ、申し訳ないのですが。お父様に少しご相談したいことがありまして」

「そうか、そこにかけなさい」
 父親は執事に声をかけ、お茶を淹れるように指示をする。アイリーンは『そこ』と差されたソファに座る。父親は向かい側に座り、彼女が手にしていた紙きれに気付いた。
「相談、というのはそれのことかな?」

「はい」と頷く。