「リーン、私にパーティのエスコートをさせてもらえないだろうか」
 生徒会室に入ろうと思っていたら、向こうから来たイブライムとばったりと出会い、そっと彼から耳元で囁かれた。囁かれた耳を右手で押さえ、彼の顔を見る。

「少し考えさせていただけますか?」

「君は、いつもそう言うな。いつになったら考えた結果がもらえるのだろうか」

「本件につきましては、まずは会長へ検討の結果を伝えてからになります」

「そうか」
 イブライムは顔に笑みを浮かべ、生徒会室のドアを開けた。
「どうぞ」
 イブライムに先に入るように促された。レディファースト、というやつか。

「やあ、イブ。アイリーンさん。二人そろってとは、珍しいね」

 アイリーンはフランシスの顔を見て、ノエルを連れて来ればよかった、と後悔していた。フランシスの隣にいつもいるダンカンはいないし、イブライムの金魚のフンのジョアキナもいない。普段は一緒にいるくせに、どうしてこう肝心なときにいないのか。この二人の間に挟まれるのは、心臓がもたない。いろんな意味で。