騎士を目指す者は騎士服への憧れ、文官を志す者は文官ローブへの憧れ、というものがある。アイリーンは文官を目指していたわけでは無いが、将来的に父親の隣で仕事をするようになるかもしれない、ということをうっすらと考えていたから、それなりに憧れのローブ。その憧れが今、ここにある。

「着てみてもいいですか?」

「うん、いいよ。むしろ、それを着ていくんだよ。だから、脱がなくていいからね」

 アイリーンはコートを脱ぎ、その憧れのローブに袖を通した。

「よく似合っているよ」

「身が引き締まる思いです」
 あらためて、アスカリッドへ来てよかったと思う。

 自国の王宮よりも、こちらの王宮への滞在時間の方が長いのではないか、とアイリーンは父親の横で思っていた。本日で二度目のアスカリッドの王宮。