「誰がそんな酷いこと言ったのよ?」
「会長です」
「イブのやつー」
本人がいないにも関わらず、ノエルは口を横に広げてイーっとしてから、ヘレンにお茶をすすめる。
「はいはい、ヘレン。飲んで飲んで」
「でも、アスカリッドで今までにないくらいの甘美小説ブームが来てますからね。甘美小説で釣れば、新入生もきっと入部してくれると思うんですよね」
すすめられたお茶を一口飲んでから、ヘレンが言った。
「そうそう。それに新入生が入学するまでにはまだ四月もあるわ。ゆっくり考えましょう。甘美ならばきっとその時までにもっと盛り上がると思うのよね」
ノエルの笑みは不適だ。その笑みの先にはアイリーンがいる。ノエルの顔を見たアイリーンは背筋がぞくっとした。