「アイリーン・ボイド。あなたとの婚約をここに宣言する」

 ちょっと待て、何かおかしいと思った卒業パーティ。卒業パーティと言ったら、婚約破棄宣言が定番ではないのか?
 沸き起こる拍手。いつの間にか右手をとられ、跪いたイブライムがその甲に口づけをする。より一層、拍手が大きくなる。

「おめでとう」

「おめでとうございます」

 困惑した表情をイブライムに向けると、喜びの笑みを浮かべている。すっとイブライムは立ち上がり、アイリーンのその腰を抱き寄せた。

「ありがとう」
 イブライムはその拍手に応えている。アイリーンは助けてくれそうな人物を探したが、彼女の身内は父親しかいない。
 お父様助けて、という視線を送ると、また右手の親指を立ててわけのわからないジェスチャーを送ってくる。