文芸部の新入生の部活動見学の内容も無事決まり、それぞれがそれぞれの本の魅力についてポップの作成に取り掛かっていた。
 サラとノエルは甘美小説、ヘレンは推理小説、ルークは歴史小説の中から一作品を選んだ。アイリーンはサラからおすすめされたあの本のまま。アスカリッドにきて最初に読んだ印象的な本だからだ。簡単なイラストはアイリーンが引き受けた。人物に限らず動物や簡単な建物等のイラストも描く。
 それから新入生の学院紹介と歓迎パーティに向けて、生徒会のお手伝い。どちらかといったら、アイリーンも紹介を聞きたい側なのだが。
 会場となる講堂に荷物を運んだり、その運んだ荷物を設置したり、というお仕事。

「アイリーンさん。悪いけれど、これを持っていってくれないかな?」
 フランシスは長尺の紙をくるくると筒状に丸めたものをアイリーンに手渡した。それでも彼女の身長の半分の長さになっている。
「わかりました」

「それから、これもお願いして良いかな? あまり重くないから」
 さらに箱状の何かをいくつか渡される。重くはないけれど、視界は不良になった。アイリーンは生徒会室から講堂へゆっくりと歩く。講堂に行くためには階段を下りなければならない。このよく見えない状況で階段を下りるという行為は、なかなかのスリルを味わうことができる。そう思って、一段階段を下りようとしたとき、視界が開けた。箱状の何かがいくつか消えている。落とした、と思って焦ってきょろきょろすると、隣にイブライムがいた。いなくていいのに。

「アイリーン嬢、ここは危ないからオレが荷物を持とう」