彷徨う私は闇夜の花に囚われて
プロローグ


高校生になってから早半年。


自分専用のスマートフォンを、片手で操作できるようになってきたある日のこと。


今日も自分の部屋のベッドの上で大好きな音楽ユニットの最新情報を眺めていると、


“紅バラさんからフォローされました”


ポンと見慣れない通知が届いた。


『推しの情報を見るならSNSをやった方がいいよ!見るだけでもいいし!』


幼なじみにオススメされて始めた呟きアプリ。


いまだにフォロワー数はゼロ。
……いや、今一つ増えたばかりか。


青い点が急かすようにお知らせ欄のところで存在を主張している。


何気なくそこをタップした私は、その画面を見て首を傾げた。


「べに、ばらさん……?」


なんだか綺麗な名前の人にフォローしてもらっちゃった。


記念すべき一人目のフォロワーさん。ちょっと嬉しい。


でも……私はSNSで閲覧しかしていない。


大して活動もしていない私のアカウントを見ても面白くないはずなのに、この人はどうして私をフォローしたんだろう?


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