彷徨う私は闇夜の花に囚われて




「美紅が予想したのも一応筋は通ってるとは思う。でも、そもそもの話、紅バラとツバキが協力関係にあるのは考えにくいと思った。紅バラは嫉妬が激しいタイプなんでしょ?それならツバキのことも良くは思っていなかったはずだから」




……なる、ほど。


私は二人がテンポよく話してるのを見て仲がいいなって思っていたけど……。


紅バラさんは私に男の人が近づくのを嫌ってたから、樹くんが言ってることの方が正しいのかもしれないね。


人が裏でなにを考えているのかわからないってのは、紅バラさんによく教えてもらったことだし……二人が協力してる可能性はないんだ。


うんうんと頷いた私を目に、樹くんは言葉を続けた。



「必然的に紅バラが誰かに見せてもらえるって線はなくなる。同時に、パンジー=紅バラの可能性も薄くなる。となると、一番に考えられるのは草野がパンジーである説」



さっきも聞いたのに、私には考えもつかなかった樹くんの仮説に耳を疑う。


でも、黒々とした瞳はただ凛とこちらを見つめているから、本気でそう思ってるのが伝わってきた。


本気で言ってるのだとしても、私はやっぱり信じられないんだけど……。


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