彷徨う私は闇夜の花に囚われて

現実世界




「美紅ちゃんー!おはよう!」


翌日の朝。


しっかり眠って疲れが取れた私へと元気よく挨拶するのは、幼なじみの草野(くさの)すみれ。


軽やかに揺れるツインテールがよく似合っている、喜怒哀楽の激しい素直な女の子。


私へSNSを始めるように勧めてきた張本人でもある。


「すみれちゃん、おはよう。今日も元気いっぱいだね」

「昨日も美紅ちゃんの配信を聞いて癒されたからね!バイト先のパワハラ上司の話にはムカついたけど、燃え上がるリスナーたちを慌てて宥める美紅ちゃんが可愛すぎて……」

「うーんと、褒めてくれてありがとう……?」

「困惑してる美紅ちゃんも可愛いなぁ!!」

「あ、あはは……」


がばっと飛びついてくるすみれちゃんに私は苦笑いを向けた。


すみれちゃんは昔から私に対して普通の人とは違う感情を向けることが多々ある。


私が泣いていても困っていても可愛いという感情が湧くらしい。


私にはよくわからない感情……。


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