消えた未来
第六話
 テーブルには四人分の食事が並ぶ。

 目の前にお母さん。

 斜め前にお父さん。

 そして、横にお姉ちゃん。

 久しぶりに家族四人で食卓を囲んでいるのに、まるで通夜のようだ。

 ここまで空気が重たいことなんてなかったから、どうしていいのかわからない。

 唾を飲み込もうとしても、上手くできない。

 それくらい、この場は沈黙に支配されていた。

 本当は、お姉ちゃんがきっかけを作ってくれるはずだった。

『奈穂、真央を連れ歩かないで』

 帰ってすぐ、お母さんがそんな言葉で出迎えたことで、お姉ちゃんの中で話し合うという選択肢がなくなったんだと思う。

 お母さんと話そうとしなかったし、明らかに不機嫌だった。

 そして、お父さんが帰ってきてから、私たちは食卓を囲んで、今に至る。

 お母さんもお父さんも、無言で食べ進めている。

 私はというと、この空気で食欲がなくて、箸に手が伸びなかった。

「どうして奈穂がここにいるんだ? 学校はどうした」

 最初に口を開いたのは、お父さんだった。

「木曜は全休。真央に話があって、戻ってた」

 お姉ちゃんは淡々と答えた。

 それは私の知っているお姉ちゃんじゃなかった。
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