「あれ、益木さん?」
「あ、あの、どうも。ご無沙汰してます」
気まずそうに挨拶する益木さんに驚くとともにお兄ちゃんを見た。
まさか、お兄ちゃんといるってことは……。
「別に、付き合ってるわけじゃない」
私の考えを読んでお兄ちゃんは不貞腐れたように言う。
なんだ、期待してたのにちょっとがっかり。
「じゃあなんで益木さんが?」
「茉緒に出産祝いを贈るのに買い物に行くって言ったら付いてきてくれるって言うから」
ポリポリと頬をかいて照れてるお兄ちゃん。
それって脈ありだよね? 普通気のない人の買い物に付き合わないよね?
期待を込めて益木さんを見ると頬を赤らめる。
「あ、いえ、妹さんにもう一度逢いたいなと思いまして」
「私に?」
首を傾げると益木さんはちらりとお兄ちゃんを見てはもじもじしてる。
「陸翔、不甲斐ないやつだな。ここはドーンともう一回告白したらどうなんだ? お前ら見てるとやきもきするぞ」
智成はお兄ちゃんの脇腹を肘で突いて発破をかける。
「だー! とっくにしてんだよ! しかもプロポーズだぞ? それでもまだ駄目だって言われたんだ! 仕方ないだろ」
ここは公衆の面前だというのに半ばやけくそでお兄ちゃんが声を上げる。
交際通り越してプロポーズしてたとは、お兄ちゃんは本気で益木さんが好きらしい。なのに断られてるとはなんだか可哀想になってくる。
「まだってなんだ、まだって! じゃあいつならいいんだ!?」
本人を前にしてぐちぐち文句を言うお兄ちゃん。
そこが駄目なんじゃないか? と智成に突っ込まれてた。