1、フェルナンシアの滅亡

私の母国、フェルナンシアが滅亡したのは、建国から約三百年経った、肌寒い日のことだった。
王家による散財で、国の財政が逼迫し、それに不満を募らせた民衆が反乱を起こしたのである。
王妃と第一王女に頭の上がらなかった国王は、彼女たちの言うままに館を建て増し、物を買い与え、贅沢三昧させていた。
それが元でフェルナンシアの財政は傾いたのである。
反乱軍は隣国レグナントと結託し、フェルナンシアに宣戦布告した。
武装国家レグナントに、財力の枯渇したフェルナンシアが勝てるはずもない。
しかも、攻めて来たのは世界一といわれる強さの大英雄。
彼の指揮の下、一糸乱れることもなく、次々と各都市を制圧したレグナントは、わずか三日でフェルナンシアを落とした。

第三王女の私、ルキア・フェルナンシアはこの結末に驚きもしなかった。
遅かれ早かれ、フェルナンシアは傾くだろうと思っていたのだ。
忠告をしようにも、亡くなったお母様は身分の低い側室で、当然私にも発言権などない。
しかも、お母様亡きあと疎まれていた私は、王妃と第一王女ナリスにより、王宮の外れにある壊れかけた廃屋に軟禁されていた。
そんな状況を、国王である父は見てみぬ振りをした。
お母様が生きている頃は、それでも宮に来ることはあったのに、私にはなんの興味もないらしい。