名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
ひょうたんから駒
朝、目覚めると、昨日の体調の悪さなど噓のようにスッキリしていた。
 熱も下がり、胸も軽い。
 こんなに気持ちの良い朝を迎えるのは、久しぶりだ。

 昨日、帰りがけに朝倉先生が今日も来ると言っていたけど、どうしよう。
こんなに回復しているのに先生に来てもらうのは悪いような気がして、取り敢えず回復した事と、ご都合が大丈夫だったらイラストの打ち合わせをいかがですか?と、メールを打った。
 直ぐに返事があり、午後1時過ぎにウチに来るという内容だった。
 返信メールを見て、思わずニンマリしてしまう。

 今日は、時間もあるから部屋の掃除もして、いつものスエット姿でなく、少しはまともな服を着て、薄くお化粧もしたりして、とにかく女度マイナスの点数の加点をしていきたい。

 美優は、自由に動き回りたい年頃で、目に付く物は全てオモチャだし、テッシュBOXなんて側においたら最後、中身が空っぽになるまで引き抜き部屋の床にテッシュが降りつもる。
 片づけたそばから大惨事が、始まる。

 小さな子供がいたら時間通りに予定など進まないと思った方がよい。
 それでもなんとか部屋を片づけ、薄化粧をし、フレアスカートにカットソーに着替えて、昨日に比べて今日は、ずいぶんマシな状態になった気がする。
 時計の針は12時40分。頑張った自分をホメてあげよう。

 ピンポーンと、部屋のチャイムが鳴った。
 朝倉先生が、早めに来た!
 そう思って部屋のドアを確認もせずに開けて後悔する。
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