アラサー地味子@シャトーホテル/フランスでワケアリ御曹司に見初められちゃいました
第3章 地味子の地味婚
 一夜明けて、朝からもう一度愛し合った私たちは淡い光に包まれた天蓋付ベッドで二度寝の惰眠をむさぼっていた。

 ドアがノックされて目覚めると、部屋の入口にクロードさんが立っていた。

「ボンシュー・マダム・ムッシュー」

「アー、クロード、ボンジュー」

 ガウン姿のジャンがベッドから起き上がると、歩み寄ってフランス語で会話を始めた。

 レースのカーテンで仕切られているとはいえ、私も裸のままでははしたない。

 二人の話が思ったよりも長くなりそうだったので、その間に私はナイトガウンをかきよせ、窓側からベッドを抜け出してバスルームへ行った。

 広いバスルームには壁一面と言っていいくらいの大きな鏡があって、絵画のように金の額縁で飾られている。

 マーブル素材の洗面台は、給水設備だけは最新の機能的な機器に交換されていて、お湯の温度調節も自由自在だった。

 トイレの横にはビデがあるけど、お風呂はバスタブがなくて、透明アクリルのブースで仕切られた簡単なシャワーだけ。

 古いお城だから元から設備がなかったのだろうし、パリのホテルでもそうだったから驚かなかったけど、せっかく豪華なんだから、薔薇のお風呂とかが楽しめればいいのに。

 フランス人にお風呂の良さを教えてあげたくなる。

 嗜好の違いとはいえ、短期間ならいいけど、長期間だと日本に帰りたくなっちゃうかも。

 海外に来るたびに思うけど、お風呂の魔力ってコタツ並みの吸引力なんじゃないかな。

 日本にいると気づかないことって案外多いのかも。

 そんなとりとめのないことを考えながら温かいシャワーを浴びていると、ジャンに愛された自分の裸がものすごくいやらしく思えて恥ずかしくなってしまった。

 いつもはさらりと済ませる部分も思わず念入りに洗ってしまう。

 田舎の空き地みたいに生え放題の毛とか、いろんなことが気になり出す。

 こんなの見られちゃったんだ、私。

 なんか、どうなんだろ。

 三十になるまで何してたんだろな。

 ありのままの自分なんて、見せるもんじゃない。

 さすがに脇毛の処理くらいはしてたけど。

 ちゃんとしとかなきゃ。

 フランス人って、あんまり気にしないのかな。

 腕毛のすごいおばさんはパリのメトロでよく見かけたし、眉毛がつながってる若い女性も見たことがある。

 でも、この左胸だけはこれでいい。

 少しいびつな乳房と赤黒くむき出しの傷。

 誰にも見せたことのない自分を愛してもらえた喜び。

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