その狂女、ミイラ女と化す
死神が嬉しそうに声をかける。

「さあ、あとひとりだな」

そう、残るは、あいつだけ。

目を向けるとまた、ドアを開けようと必死にあがいてる。

そこは無理。

唯一、逃げ道があるとしたら…

窓の外。

ただ、ここは9階だけどね。


わたしは、顔に巻かれていた包帯をゆっくりとほどいていった。

自分じゃ見れないけど、きっと凄い顔なんだろうな。

元が地味だったから、ある意味、派手顔になったんだろうけど…

包帯をほどきながら、少しずつ近づいていく。

だが、やつは顔を向けようとしない。

当たり前か、外見か金。

興味があるのは、ただそれだけの男。
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