同居人は無口でクールな彼
第8章 2人だけの勉強会



あれからのわたしはおかしい。

翔哉くんの姿を見るだけで、胸が苦しくなる。


目も合わせられないし、うまく話しかけられない。

恋をするとみんなこうなるの……?



「野々村さん、なんでそんなに離れてんの?」


登校中、いつもなら半歩後ろを歩いていたのに。

今日は2歩後ろを歩いていた。


それに、今日は“すず”って呼んでくれないんだって悲しくもなった。


「あ、そうだ。今日から部活ないから」

「え?」


翔哉くんはいつも言葉が足りない。

きっと今も、部活がないから早く帰れるということを言いたかったんだと思う。


「うん、わたしもないよ」


それだけ答えると、翔哉くんはなにも言わなかった。




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