「あかりちゃん、こんばんは」

 受付担当のサキから案内済みの知らせを受けていつもの個室に入る。あかりの入室に気が付くと、予約通りの時間に来店してきた相手はすぐににこかやな笑顔を向けてくれた。

 自分の夫とまったく同じ姿かたちをしているが、真顔が多い響一と違って彼はいつもにこやかだ。何処かの国の王子様みたいにフワリと笑う奏一に、あかりもにこりと笑顔を返す。

「いらっしゃいませ、入谷様」

 あかりが会釈すると、奏一がシーツのジャケットを脱ぎながら小さく苦笑した。

「いやいや、あかりちゃんも入谷でしょ」
「え、えっと……そうなんですけど……」
「下の名前で呼んでよ。あかりちゃん、俺の義理の姉さんになったんだから」
「……全く慣れそうにないです」

 からかうように笑われても、あかりは申し訳なくなるばかりだ。

 奏一は急に身内となったあかりに対しても親密に接してくれるし、くだけた態度で接してほしいと言ってくれる。

 あかりとしてはその心遣いも嬉しいが、奏一に対する申し訳なさと緊張と照れから時間が経った今も恐縮するばかりだ。

 もごもごと口籠るあかりに笑みを残すと、奏一は施術を受けるためにネクタイとシャツのボタンを外し、そのままベッドへうつ伏せになった。