偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
選んだ道

他がために…敬

救急外来に用意された面談室、普段は病状を家族に説明するために利用される部屋に俺とおじさんと高城先生が入った。

「申し訳ありません」
言い訳もせずに頭を下げた俺。

2人の表情は見えないが、重たい空気になったのは間違いない。

「どういうことか説明しなさい」
事情を全く知らないおじさんは、当然俺に説明を求めてくる。

こうなったら話すしかないだろう。

「昨日、真理愛を家に泊めました。すみません」
もう一度深く頭を下げる。

「外泊は困ると言ったはずだよね?」
「ええ」
「連絡もなく帰って来なければ、家族が心配するって君にもわかるだろう?」
「はい」
何を言われても悪いのは俺で、言い訳はできない。

「お前たち、付き合っていたのか?」
初めて事情を知ったおじさんが俺に聞いてくる。

「ええ、まあ」

付き合っていたって言うのとは少し違う気がするが、今はお互いに好意を持っている。それは間違いない。


「高城先生」
しばらくの沈黙が続いた後、おじさんが口を開いた。
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