偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「うちの妹、結構かわいいんだよ」
「ふーん」
としか言いようがない。

真理愛のことは太郎に聞かされなくてもよく知っているが、そのことを口にするわけにはいかない。

「色々と言う奴はいるが、あいつはいい子なんだ」
「ああ」
そうだな。

完全に兄の顔になった太郎に返す言葉がない。

当時は一人で街をふらつく高校生の真理愛をただかわいいなあと思ったが、後になっていろんな噂を耳にした。
『高城小児科に来た連れ子は不良らしい』
『高校生のくせに学校にも行かずに遊び歩いているらしい』
きっと真理愛のことをよく知りもしない人間が言っているんだろう。
それでも、たった一晩一緒にいただけの俺には表立って否定することもできなかった。

ブブブ。
ブブブブ。
一斉に2人のPHSが鳴った。

「救外だ」
「俺も」

さあ、今日も忙しい1日になりそうだ。
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