偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
再会・・・1年後。

素直な気持ち…真里愛

生まれ育った町から離れ、1人で始めたアパート暮らし。
荷物も多くはない私には単身者用の1Ⅾkのアパートがちょうどよかった。
さすがにセキュリーティーを考えて築年数の新しいオートロックの物件に決めたけれど、造りや間取りはいたってシンプル。仕事もせずお母さんから渡された貯金で生活する身としては十分すぎる生活を送っている。


「あら、真理愛さん」
「あ、大家さん。おはようございます」

ちょとアパートを出たところで大家さんと出会った。

「今日もお父さんのところに行くの?」
「ええ」
「じゃあ帰りにお寄りなさい。沖縄の知り合いから果物をたくさん送ってもらって食べ切れないの。少し持って行って」
「ありがとうございます。あとでお邪魔します」

この街に来て、周囲の静かさと交通の便とお父さんの病院に近いことからこのアパートに決めた。
たまたまお世話になることになったアパートの大家さんは70代の老夫婦。
もちろん不動産会社も介入しているけれど、アパート一階に住んでいる大家さんご夫婦はことあるごとに私を気にかけてくださる。

沖縄の果物か、楽しみだな。
そうだ、帰りに駅前の精肉店でコロッケを買って帰ろう。
あそこのコロッケは美味しいから大家さんも喜んでくれるはず。
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