偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~

あなたと生きる…真理愛

敬の運転する車で1時間。
敬也はすっかり眠っていて、静かな車内。
私も敬もあえて言葉を発することなく走り続け到着した小鳥遊邸は広い敷地に立派な日本家屋があり、副院長と奥様が私たちを待っていてくださった。

「こんばんわ」
玄関を入り、ちょうど目が覚めた敬也を抱いて私は頭を下げる。

歓迎されるとは思っていない。
せっかく跡取りにと迎えた敬に、私のような女と子供までいたのではきっと面白くないはずだ。
嫌われて当然だと覚悟している。

「敬、来なさい」
副院長のまじめな声。
「はい」
敬も覚悟したように返事する。

2人は家の奥へと行ってしまった。

「さあどうぞ、あがって」
「はい」

想像より優しい声をかけられたことにホッとしながら、私は小鳥遊邸にお邪魔することになった。
< 182 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop