偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「ふーん、真理愛ちゃんと知り合いだったのか?」
「ええ」

以前に偶然知り合っていたことと、1人で眠れないと言った真理愛を部屋に泊めたことを皆川先生に白状した。

「付き合っているってわけじゃあ」
「ないですね」

嫌いなわけでもないし、一緒にいたいとも思う。
でもそれは、純粋に友情と言うか、共感しあう同志のような関係。

「真理愛ちゃん、かわいいもんな」
「ええ」

否定はしない。
でも、皆川先生にわざわざ言われるのは気分がよくない。
この気持ちは一体何なんだろう。

「まあ、気を付けるんだな。あの人ああ見えて若い頃には随分やんちゃだったみたいだから」
「へえー」

意外だな。全く想像できない。
聖人君子を地で行くような、人徳者と評判なのに。

「親父の大学の後輩らしくて、何度か話を聞かされたから本当だよ」
「そうですか」

皆川先生に言われなくても、当分高城先生に近づこうとは思わない。
あれだけ強くけん制されれば、顔を見ただけで思い出しそうだし。
ただ、真理愛のことは気になっていた。
声を聞けば会いたくなるし、会えば側にいたくなる。
いけないとわかっていても、頭から離れることはないだろう。
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