偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
午前11時過ぎ。
もうすぐ転院予定の時間。

「真理愛さん、これから転院の準備をしますので、会計へ行って支払いの手続きを済ませてきていただけますか?」
「あ、はい」

看護師さんに促され、私は立ち上がった。

病院の支払いはおじさんに頼っている。
もちろんお父さんもできる限り自分で負担するけれど、最近の医療費はとっても高くて仕事をしていないお父さんがすべて支払うことはできない。
申し訳ないと思うけれど、足りない部分はおじさんにお願いするしか方法がない。

「着替えをしたり、点滴を差し替えたりで時間がかかると思いますので、ゆっくり行ってきてください」
上田先生が後ろから声をかけてくださる。

「はい、じゃあ、お世話になった救急の先生にもご挨拶してきます」
「そうですね、そうしてください」

敬さんは午前中に病室へ顔を出すって言っていたけれど、やはり忙しいみたい。
それなら私が救急外来に行ってみようと病室を出た。
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