辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
 隣にセシリオが乗り込むと、馬車の扉がバタンと閉じられる。ガタッと音がして動き出した馬車から、サリーシャはプランシェ伯爵家の面々が見えなくなるまで手を振った。

 プランシェ伯爵家を出て一時間もすると、街道の両脇は深い森に覆われた。時折、木を伐採するための拠点とするための木造の簡素な小屋が建っているのが見える。頬杖をついて窓の外を眺めていたセシリオは、ふと思い出したようにサリーシャの方を向いた。

「帰りはデニーリ地区の領事館に寄る。少し気になることがあって、アルカン長官と話がしたいんだ」
「はい。わかりました」
「その帰り、どこかに寄ろうか。結婚以来、色々と遠出はしているがゆっくりと過ごすことはなかっただろう?」

 セシリオが優しく微笑む。
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