俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜


 香澄の家から劇団の本拠地へ移って、私は夜遅くまで演技の練習をする劇団員たちの姿を見た。夢に向かって下向きに努力するその姿は鮮烈に映り、自分も頑張らなければと思った。けれど玲二とのことがあり、もやもやが消えず思い悩んでいたときに玲二はやってきた。

 ひさしぶりにあった彼に対し私の身体は素直で、心臓が高鳴ることを止める術など思いつかなかった。

「……何よそ見してる? こっち見ろ」

 そう言って再び口付けられる。
 口内に侵入した舌に蹂躙され、身体から力が抜ける。ぺたりと床に座りこむと、玲二は私を見下ろしながら自分の唇を舐めた。

 そしてそのまま私をお姫様抱っこで抱え、寝室へと足を向ける。

 これからすることにドキドキと逸る心臓の音が耳まで届く。そんな些細なことからでも自分が期待しているということを自覚した。
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