そうして一言謝ると、実篤(さねあつ)からの謝罪を拒絶と受け取って表情を一気に曇らせたくるみを、「そうじゃないけぇ」と言う気持ちを込めてギュッと腕の中に抱き寄せた。

「俺、もう(はぁ)年が離れちょるとか何とか……くだらん負い目は全部捨てる」

 低く押し殺した声音でそうつぶやくと、実篤は何の前触れもなく腕の中のくるみを横抱きに抱き上げる。

「実篤さんっ!?」

 突然お姫様抱っこをされてびっくりしたくるみが、実篤にギュッとしがみついてきて。
 それが、実篤の鼓動をどんどん早くした。

「これからは俺、くるみちゃんに触れるん、一切我慢せんけぇ。――覚悟して?」

(女の子にここまで言わせて何もせんとか……男がすたるじゃろ!)

 いくら自分がヘタレワンコでも、そのぐらいは分かる。

(俺を狼男に化けさせたのじゃって、くるみちゃんなりの必死のアピールじゃったんじゃろ?)

 ずっと、くるみとの年の差にひるんでキスさえままならなかった実篤だけど、キスはもちろん、その先だってずっとずっとしたいと思っていた。

 欲望を理性で抑え付けるようにして、年の離れたくるみを傷付けないよう、真綿にくるむような付き合い方をしてきた実篤だったけれど。

 それが逆にくるみを傷付けていたんだと思い至った。