社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
 そもそも酔っ払いのやることに意図なんて見出せるわけがないのだ。

(まぁ案外飲んでくれちょる方が緊張も(ほぐ)れて痛みとかあんましないかもしれんし……そう考えたらある意味怪我の功名(こうみょう)よな?)

 なんて、屈託のない表情で実篤(さねあつ)の腕の中に収まるくるみを見下ろしながら、頭の中は〝そんなこと〟で一杯に染められていく実篤だ。本当(ほん)に男の(さが)というのは(ごう)が深い。



「いっぱい待たせてごめんね。気持ち悪ぅない?」

 ホワホワと気持ち良さそうではあるけれど、空きっ腹にやらかしていることが気になって問い掛けた実篤に、「全然(じぇんじぇん)」とくるみがにっこり笑う。

(かっ、可愛すぎるっ!)

 いつも小悪魔で実篤を翻弄(ほんろう)しまくりのくるみだけれど、今のくるみは無防備百%で、通常の可愛さの九割増し以上。

 警戒心なんて皆無で、ギュウギュウと身体を実篤に押し付けてくるのが堪らない。

 しかも失念してはいけないのがくるみの服装!

(彼シャツ、有難う!)

 つい実篤が心の中でガッツポーズをしたのも無理はない。
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