「意地悪」

 衛士は否定せず、余裕たっぷりに私の額に口づける。

「でも俺以外のことで頭がいっぱいの未亜を抱くのは本意じゃない」

 そのわりに容赦がなかった気がするのは気のせいだろうか。けれど伝わってくる衛士の体温が心地いいので、なにも言い返さずおとなしく身を委ねる。

「それに、さすがに仕切りなしに娘が同じ部屋で寝ているしな」

 ひとり言に近いものだろうが、私は身じろぎして衛士の顔を見た。どうやら彼もなんだかんだで茉奈の存在を気にしていたらしい。

 そんな衛士になんとなく安堵する。そのとき、彼の手がなにげなくスカートの中に潜り込み、太股を撫で上げていく。私は勢いよくその手を押さえつけた。

「な、なに?」

「中途半端だっただろ? もう少し触って未亜の頭が真っ白になるくらいには気持ちよくさせようかと」

 あっけらかんと答えられたが、衛士の言わんとする内容を理解し、羞恥心で頬が熱くなる。

「い、いい! 必要ない!」

「遠慮しなくていい。俺はいつでも未亜が喜ぶことをしたいんだ」

 ものは言いようとはこのことだ。さっきとは絶対に意味が違っている。

 しばらくソファの上で衛士と攻防戦を繰り広げていると、今度こそベッドの上から声がかかる。

 私と衛士の姿を捉え、寝ぼけ(まなこ)で満面の笑みになる茉奈を見て、私と衛士も顔を見合わせ笑い合った。