「風愛、今日は一晩中抱かせてね!」

一週間経ち……仕事に出る前、風愛にキスを落としながら未雷が言った。

「私、今日は寝れないの?」
「うん。寝かさないよ。
いや…違うな。寝かせてあげられないと思う。
この一週間、キスだけだったから……」

(キスだけって……そのキスもここ一週間凄かったけどな……)

「風愛?」
「ん?あ、うん。
じゃ、じゃあ…お昼寝でもしておこうかな!
………なんてね(笑)」
「フッ…!!その方がいいかも(笑)?
きっと、止まらないから!」

未雷は風愛の頭をポンポンと撫でて、出ていったのだった。


「あと…は……おっ!可愛いー」
風愛は食材の買い物に出ていて、少しプラプラしていると可愛いニットを見つける。
「でもな……未雷くんと一緒じゃなきゃダメなんだよなぁー」
呟きながら、ひたすらガラス越しに見ていた。

「鷹司くん、待ってよ!」

「え?鷹司…って、未雷くん!?
…………だ、誰…!?」
突然“鷹司”という名前が聞こえ振り向くと、未雷と花田がいた。

一足前を歩く未雷を、花田が必死に追いかけている。
追いついた花田に微笑んでいた。

「未雷…くん……」
あの優しい笑顔は、自分だけのモノのはずだ。

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「ただいま、風愛ー」
「………」
玄関先で出迎え、風愛は未雷に無言で抱きついた。

「ん?風愛?
どうした?」

(あの人は、誰?)
と、聞きたい。
でも、わかっている。
聞いたところで、ただの同僚だと言われるだけなのだから。
風愛も別に、浮気を疑っているのではない。
未雷に浮気など、あり得ないのだから。

昔、友達に言われたことがある。
“浮気しないなんてあり得ない!そんな人間いるの?誰もが本当に一生一人だけを愛せると本気で思ってんの?”と━━━━━

でも、未雷はけっして“普通”ではない。

だから、未雷には“浮気をしない”はあり得るのだ。


「ううん。ただ、未雷くんに早く会いたかっただけ」
「フフ…そっか!嬉しい!早くご飯食って、愛し合おうな!」
見上げて言った風愛に、未雷は微笑みチュッとキスをした。

この笑顔は━━━━━
私だけのモノのはずなのに……

どうして、私以外の人にこの笑顔を見せたの………?

「先に……」
「ん?風愛?」
「ご飯よりも、未雷くんが欲しい!」

「え……ふう…あ?」

「あ、ご、ご、ごめんね!
私、何言ってんだろ………お腹空いたよね?
すぐ準備するね!今日は、未雷くんの好きなパスタだよ!」
つい本音が出てしまい、我に返る風愛。
慌てて、キッチンに戻ろうとする。

「風愛」
「ん?未雷くん、早く手を洗っ━━━━━━未雷くん?」
未雷はその場に突っ立ったまま、風愛を見つめていた。


「いいよ」
「え?」
「だから!いいよ!」
「未雷…くん?」

「“俺を”あげる。風愛が望むなら……“全て”」