角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

そんな雰囲気さえなかったから。


「だけどね、時間が経つにつれて少しずつ告白されたんだ…って実感が湧いて、戸惑ったけど……」


私が一番に大切にしたいものは。

私が無くしたくないものは。


たったひとつだけだから。


「すごく嬉しかったです……でも私は、日向くんの気持ちに答えることができません。ほんとに…ごめんなさいっ……!」


思い切り頭を下げた。

地面が見えるくらい、深く深く。


「ごめんなさい……っ!」


同じ思いを返すことができなくて、ごめんなさい。

今まで優しく支えてもらったのに、ごめんなさい。

たくさんのごめんなさいを言葉に乗せる。


「瑠衣ちゃん、頭あげて」


日向くんの優しい声が流れてくる。


「でっ、でも……」


日向くんにちゃんと謝らないと私の気がおさまらない。


「大丈夫だから頭あげてよ」


そうっと顔を上げると、日向くんはとても穏やかな表情を浮かべていた。
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