日直当番【完結】

土砂降りの雨の日は

 5月も中旬に差しかかる頃、あの日の放課後以来、進藤くんとはこれと言った接点もなく、今まで通りの平穏な日々を過ごしていた。今思い返せばあれは夢だったんじゃないかとさえ思えてくる。結局はどうでもよくなったということ。

 古典の授業の真っ只中、時々記憶が飛びそうになりながら黒板に書かれる無数の文字たちをノートに写していく。この作業は今の私にはなんの意味もなさない。先生が発する言葉は既に日本語ではない……。

 ピカッ。

 窓の外が青く光ったような気がしてふと窓の外を見ると、午前中まで晴天だった空がいつの間にか大きな雨雲で覆われていた。ということはさっきの青い光は雷か。数秒後にゴロゴロゴロ…と音が鳴り響いた。雷は遠くに落ちたらしい。

私の記憶はそこで途絶えた。
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