オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
伝説の男
「やり直しだ!時間を掛けてこれか?」

「す、すみません…」

 椎名部長の怒りの声と謝る若手の男性社員。日常茶飯事の光景に気にする者はいない。次は、わが身にならないようにみんな自分の仕事に励む。

 ここは、都心の一等地に建つ高層ビルにオフィスを構える広告代理店『ユニバースエージェント』。45階建てのビルの42階のフロア全てがオフィスになっている。

 今や大手広告代理店に名を連ねるが、創業二十年と広告代理店としてはまだまだ新しい会社だ。創業当時は、雑誌や新聞、テレビCMなどをメインにしていたが、インターネットやスマホの普及に早くから目をつけていた社長の手腕とある新入社員の功績で、今では大手と言われるまでに成長した。

 十年前から急激に業績が上がりだしたのが、先程怒鳴っていた椎名部長が入社したからなのだ。椎名部長が新入社員で入社した当時、スマホの普及率が一気に上がり誰しもがスマホを持つ時代に突入していた。

 ただスマホでの広告となるとまだまだ改善の余地があった。そこに目をつけ新入社員ながらに社長に直談判し、アプリやSNS向けの広告専門の部署を設立、十年経った今では部長として沢山の部下を持つ『伝説の男』となっている。






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