エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
荒天


五月と六月は、優杏にとって忙しい日々だった。

少しづつデザインの依頼も増えてきたし、青木デザイン事務所から依頼される仕事はやりがいがあった。

またイングリッシュガーデンを使った夏向きの商品をWebサイトに紹介したら、
ベルフラワーの売り上げが伸びたと高評価を得ることができた。

兄の死と会社での心ない噂で傷ついていた優杏の心は、少しづつではあるが立ち直り始めていた。

ただ煌斗との関係だけは、落ち着かない気分にさせられた。

彼は在宅ワークをしている優杏が心配だと言って、よく顔を見せるようになっていた。

人気の洋菓子を手土産にふらりと立ち寄ることもあれば
老舗の味を夕食の一品にとテイクアウトしてくれることもある。

(どうしてこんなに気を遣ってくれるんだろう)

仕事に夢中になると食事を忘れてしまう優杏には助かるのも事実だが、
ふたりでお茶をしたり夕食を食べる時間が増えていくと、優杏はますます混乱していく。


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