禁忌は解禁された
颯天の同窓会
「え?集まり?」
『あぁ!久しぶりだしよ!飲もうよ、颯天!』
ある日の休日、颯天は辰之と電話で話していた。

「いつ?」
『まだ決めてねぇけど、日時合わせて。
俺の居酒屋、貸しきりにすりゃあいいしよ!』
「………わかった。いいよ」


「飲み会?」
一颯に話す、颯天。
「うん。辰之の店で同窓会っつうか」
「そっか!わかった!」
「………」
「颯天?」
「ねぇ、一颯」
「ん?」
「“颯天、行かないで”とか言ってくんないの?」
「え?」
「“私、颯天と離れたくない!”とか」
「どうして?」
「俺がいなくて寂しくないの?」
「銀くんや、真紘くんや暁生くんもいるし、寂しくないよ」

「なんでだよ!?」

「え……なんで怒るの?」
「俺は、一颯がいないと死にそうになるのに、なんで一颯は平気なの?」
「だって、颯天…
お食事に行くだけでしょ?それくらいなら……」
「俺は!!それくらいでも、どうにかなる!!」
「じゃあ…どう言えばいいの?」
「“行かないで”とか“寂しい”とか言って、駄々こねてよ!」
「颯天は、同窓会行きたくないの?」
「そうじゃねぇよ」
「じゃあ、その日はギリギリまでくっついてようよ!」
「うん!そうする~」

「可愛い、颯天!」
「可愛い言うな!!」


同窓会当日━━━━━━━
「んんっ!!颯天、もう行かなきゃでしょ?」
その日、颯天はギリギリまで一颯にぴったりくっつき、キス責めをしていた。

「だって、仕事終わり次第行くから、たぶん夜中まで会えないし!
一颯、先に寝てていいからね!」
「うん」
「一颯、好き~大好き~」
「もう!くすぐったいよ……!」
銀二が止めに入るまで、一颯から離れなかった颯天だった。


仕事終了後、辰之の居酒屋に向かった颯天。

「銀二達、お前等は帰ってろよ」
「は?そんなわけにはいきません」
「お前等、邪魔!それに、一颯の傍にいてやれ」
「しかし!」
「俺は、一人でもどうにでもなる。
てか一人の方が、ある意味動きやすい。
それに、そんな簡単に俺に手を出す奴、いねぇし!」

「…………わかりました」
颯天は後ろ手に手を振り、居酒屋に入ったのだった。

「若、本当に帰るんですか?」
「そんなわけないだろ?周りを固める」
「じゃあ、俺達がここにいます」
「若は、姫の傍にいてあげてください」
町野と百田が微笑む。

「は?」
「こんな時じゃないと、姫の傍にいられないでしょ?」
「お前等…」
「早く行かねぇと、俺が姫の傍に行きますよ?」
暁生が言う。

「………わかった」
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