たちばなの若女将として過ごすようになり、毎日が目まぐるしく過ぎていった。

 まだここへ来てから十日ほどしか経っていないなんて信じられない。

 楓花の母親としての時間も必要だからなおさら忙しい。義母や、智秋が手配してくれたベビーシッターがいなければ間違いなく倒れていただろう。

 秘書課にいた分、スケジュール管理や急な対応には慣れていると思っていたのに、想像していたよりも臨機応変な動きを求められる。

 しかもそれで本来の作業より少ない状態なのだ。なぜなら私はまだ勉強中の身だからである。

「お気をつけて行ってらっしゃいませ」

 今日もまた私はチェックアウトするお客様を見送った。